
土地家屋調査士の業務において、依頼者からのヒアリングシート作成や、隣接地所有者への日程調整アンケートなど、「フォーム作成」が必要になる場面は意外と多いものです。
これまでは「設問を一つひとつ手入力」したり、過去のデータをコピーして修正したりと、地味ながらも時間のかかる作業でした。
しかし、2025年11月、Google Workspaceに待望のアップデートが到来しました。GoogleフォームのAI作成支援機能「Help me create」が、ついに日本語を含む7言語に対応したのです。
今回は、このアップデートが私たちの実務にどのようなインパクトを与えるのか、そして具体的にどう活用できるのかを解説します。
Googleフォームの「Help me create」とは?
「Help me create」は、Googleフォームの新規作成時に、「どのようなフォームを作りたいか」を文章(プロンプト)で指示するだけで、AI(Gemini)が自動的に設問や選択肢を生成してくれる機能です。
これまでは主に英語のみの対応でしたが、今回のアップデートにより、以下の7言語が新たに追加されました。
- 日本語
- スペイン語
- ポルトガル語
- 韓国語
- フランス語
- イタリア語
- ドイツ語
これにより、私たち日本の実務家も、母国語である日本語で直感的にAIへ指示を出せるようになりました。
土地家屋調査士・士業における活用シナリオ
「単にフォームが作れるだけ?」と思われるかもしれませんが、既存のドキュメントを参照できる点がこの機能の真骨頂です。実務で想定される具体的な活用例を挙げてみましょう。
1. 依頼者向け「境界確定・測量ヒアリングシート」の作成
例えば、手持ちの「業務案内PDF」や「過去のヒアリングマニュアル(Googleドキュメント)」をAIに読み込ませ、「この資料に基づいた、新規依頼者向けの事前確認フォームを作成して」と指示します。
AIは資料内の重要事項(氏名、住所、隣接地とのトラブル有無、立会い希望日など)を抽出し、適切な設問形式でフォームを構築してくれます。
2. 事務所内「備品・機器管理チェックリスト」の即時作成
測量機器や消耗品の管理リストをExcelやスプレッドシートで管理している場合、それを参照させて「このリストにある機器の持ち出し・返却を記録するフォームを作って」と指示すれば、プルダウンメニューに機器名が入ったフォームが一瞬で完成します。
3. セミナー・相談会後のアンケート
私たちのようにコンサルティングも行う場合、セミナー等の開催は重要な活動です。「セミナーの内容に対する満足度と、今後の相談希望日を聞くアンケートを作成して。トーンは丁寧なビジネス敬語で」と指示するだけで、失礼のない適切なフォームが生成されます。
使い方は非常にシンプル
機能の利用手順は以下の通りです(※対応エディションの契約が必要です)。
- Googleフォームを新規作成する。
- 画面左側などに表示される「Help me create(フォームの作成を依頼)」のキラキラアイコン(✨)をクリック。
- 表示された入力ボックスに、日本語で作りたいフォームの内容を入力する。
(例:「土地の境界立会いに関する日程調整フォームを作ってください。候補日は3つ選べるようにして」) - 必要に応じて、Googleドライブ内のドキュメントやPDFを参照ファイルとして指定する。
- 「作成」をクリックすると、AI案が提示されるので、確認して採用・修正を行う。
まとめ:AIを「有能な事務スタッフ」として使いこなす
今回の日本語対応により、Googleフォームの作成コストは劇的に下がります。特に、「ゼロから考える手間」や「既存資料から転記する手間」がなくなる点は、多忙な専門職にとって大きなメリットです。
Google Workspaceを導入済みの事務所であれば、使わない手はありません。「AIなんて難しそう」と敬遠せず、まずは「こんなフォーム作れる?」と日本語で話しかける感覚で試してみてください。
結論:単純作業はAIに任せ、私たちは人間にしかできない「判断」や「折衝」に時間を使いましょう。
【お問い合わせ】
「自社のWorkspace環境でAIが使えるかわからない」「Geminiの導入を検討したい」という方は、geminic.netまでお気軽にご相談ください。土地家屋調査士の実務に即した導入支援を行います。