土地家屋調査士の内業を考える
縁の下の力持ち!土地家屋調査士の「内業」ってどんな仕事?
土地家屋調査士と聞くと、測量機器を覗き込んで現場で作業する姿(外業)をイメージする方が多いかもしれません。しかし、その測量データや調査結果を法的な形に整え、登記を完了させるためには、事務所内での緻密なデスクワーク、すなわち「内業(ないぎょう)」が不可欠です。
今回は、土地家屋調査士の仕事の「頭脳」とも言える「内業」の具体的な内容についてご紹介します。
内業の主な仕事内容
内業は、外業で得た情報を法務局に提出できる形にまとめ上げる、非常に専門性の高い作業です。
1. 資料の海を読み解く「資料調査」
登記申請や測量に先立ち、まずは法務局や市区町村の役所などで、対象となる土地や建物に関する膨大な資料(登記記録、公図、地積測量図、建物図面、固定資産税関係の資料など)を収集し、読み解きます。過去の経緯や現状を正確に把握するための重要なステップです。
2. 正確さの要「測量データの計算」
外業で取得した測量データは、そのままでは使えません。事務所に持ち帰り、専用の計算ソフトなどを使って座標値や面積を精密に算出します。ミリ単位の精度が求められる、土地家屋調査士の腕の見せ所の一つです。
3. 法的な図面を創り出す「図面作成」
計算結果に基づき、CADソフト(図面作成ソフト)を使用して「地積測量図」「建物図面」「各階平面図」といった、法務局に提出するための専門的な図面を作成します。これらは不動産の状況を法的に示す重要な書類となります。
4. 登記を完結させる「申請書類作成・手続き」
調査、測量、計算、図面作成のすべてが完了したら、最終的に「土地地積更正登記」や「建物表題登記」といった登記申請書を作成します。必要な添付書類と共に法務局へ提出(近年はオンライン申請も主流です)し、登記が完了するまで対応します。
まとめ
土地家屋調査士の「内業」は、現地での「外業」と密接に連携し、不動産の物理的な状況を法的な記録(登記簿)に正確に反映させるための重要な役割を担っています。
正確な計算能力、図面作成技術、そして不動産登記法などの法律知識が求められる、まさに専門家による「縁の下の力持ち」的な仕事と言えるでしょう。