土地家屋調査士の業務を生成AIで革新!熊本・沖縄でのDX研修レポート


2026年3月、熊本県および沖縄県の土地家屋調査士会にて、「デジタル化の基礎から生成AI活用まで ~明日から現場が変わる実務変革~」と題した研修講師を務めてまいりました。

両会場とも、参加された皆様の興味津々な眼差しと熱気に包まれ、研修後には質問攻めにあうほどの大盛況となりました。今回は、各会場でお伝えした「土地家屋調査士業務における生成AI活用の最前線」について、そのエッセンスを簡単にご紹介いたします。

熊本・沖縄での研修概要:テーマは「明日から現場が変わる実務変革」

今回の研修では、「AIなんて難しそう」「うちはまだ紙で十分」といった先入観を払拭し、「AI=楽しい・超優秀な助手」という意識変革を起こすことを最大の目標としました。

熊本会(3月6日)、沖縄会(3月13日)ともに、難しいIT理論ではなく、泥臭い現場を知り尽くした現役調査士の視点から「明日からすぐに業務を楽にする方法」に特化してお話ししました。

AI活用の第一歩:「無意識の非効率」からの脱却

生成AIの恩恵を最大限に受けるためには、まずデジタル環境の「土台」を整える必要があります。研修の冒頭では、皆様の事務所に潜む「無意識の非効率」について問いかけました。

  • メールを毎回「新規作成」で送る: スレッド(履歴)が切れ、AIが文脈を追えなくなります。
  • 図面を「ZIP圧縮」して送る: 中身が検索できない「開かずの箱」となり、AIも活用できません。
  • CAD図面をわざわざ紙に印刷してスキャンする: 貴重な座標や文字のデジタルデータが死んでしまいます。

これらからの脱却が、AI活用の第一歩です。作業環境をGoogle Workspaceなどのクラウドベースに移行し、データへのアクセス性を高めることが重要です。

AIは「優秀だが現場を知らない新入社員」

生成AI(Geminiなど)は、世界中の法律や判例を丸暗記している「大学院卒の超優秀な新人」です。しかし、現場経験はゼロであり、空気を読むことはできません。

そのため、「あれやっといて」といった丸投げの指示では機能しません。AIを意のままに動かすには、以下のプロンプト(指示出し)の4つの黄金ルールが必要です。

  1. 役割 (Role): 「あなたはベテランの土地家屋調査士です」
  2. 文脈 (Context): 「測量が終わったので、隣人へ現地立会をお願いしたい」
  3. 具体性 (Specific): 「日程は来週の火曜〜木曜で調整したい」
  4. 形式 (Format): 「そのまま印刷して投函できる、丁寧な手紙形式で」

研修では、参加者の皆様にスマートフォンを使っていただき、実際に「魔法の指示出し」を体験していただきました。沖縄弁を交えた筆界の説明など、プロンプト次第でAIの回答が劇的に変わる様子に、会場からは驚きの声が上がりました。

参加者を釘付けにした「実務直結デモ」

研修の後半では、私のPC画面を投影し、実務を劇的に変えるAIの実演デモを行いました。特に反響が大きかったのは以下の2点です。

1. アナログ図面からの座標読取と整合性チェック

手書きの数値が入った古いスキャン図面(PDF)をAIに読み込ませます。すると、瞬時に座標と寸法を読み取って表形式にし、さらには面積の検算や、図面記載寸法との誤差チェック(整合性確認)までを一瞬で完了させます。あとは結果をCADに貼り付けるだけです。

2. NotebookLMを活用した調査報告書の自動作成

Googleの「NotebookLM」は、手元の指定した資料だけを読み込んで回答するAIです。ここに過去の報告書や手引き、案件のメモや登記情報を放り込みます。
「これらの資料を基に、不動産登記法第93条に基づく調査報告書のドラフトを作成して」と指示するだけで、専門用語を用いた高品質な所見案が完成します。ゼロから文章を書く苦労から解放される瞬間です。

組織のDXとセキュリティの絶対ルール

AIの業務利用において、絶対に忘れてはならないのが「セキュリティ」です。
無料版のAIに顧客の個人情報や地番を入力すると、AIの学習データとして利用されるリスクがあります。業務で利用する場合は、学習に利用されないことが契約で保証されているGoogle Workspaceなどの「ビジネス版」の利用が必須です。

また、AIは時に「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」をつきます。AIが出した成果物を鵜呑みにせず、最終確認をしてハンコを押すのは、プロである我々人間の責任です。

同時に、土地家屋調査士会という「組織」のDXについても提言しました。理事会の資料をクラウド共有にし、議事録作成をAIに任せることで、役員の皆様の負担を激減させることができます。

まとめ:AIを「最強の相棒」に育てよう

今回の熊本・沖縄での研修を通じて改めて確信したのは、AIは私たちの仕事を奪う脅威ではなく、専門性をさらに高めてくれる「最強の相棒」であるということです。

面倒な作業(Task)はAIに任せ、私たち調査士は、お客様との対話(Dialogue)、現場での高度な判断、そして複雑な権利関係の調整といった「人間にしかできない仕事」に集中する。
今日からメールの返信一つ、検索一つからAIを活用し、プロとしての誇りと、自由な「余白」の時間を取り戻していきましょう。

【お知らせ】
当サイト「geminic.net」では、土地家屋調査士業務に特化したGoogle Workspaceの導入支援や、Gemini活用に関するコンサルティングを行っております。業務効率化にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。