
【コラム】Geminiは賢い新入社員!
〜失敗から学んだプロンプト作成術〜
生成AIの活用でよくある失敗と成功体験を、ある先輩Aさんのエピソードを基にご紹介します。
ある先輩の挑戦と「最初の壁」
先輩Aさん: 「Geminiに土地家屋調査士の報酬計算シートを作らせてるんだが、どうもうまくいかない。『…汎用的な報酬計算用のスプレッドシートを作成してほしい』って、かなり具体的に命令してるのにな…」
発生した問題
出力されたCSVデータが、Googleスプレッドシートにうまく貼り付けられない。
A先輩の反応
「やはりAIにはまだ難しいのか…」と落胆。
解決策の提案
ナカヤマ(私)のアドバイス:
「Geminiを『大学院卒の優秀な新入社員』として捉え、対話するように接してみては?」
アプローチの比較
| 比較点 | 👎 先輩Aのアプローチ | 👍 ナカヤマ(私)のアプローチ |
|---|---|---|
| タイプ | ゴール先行・一括指示型 | 対話型・タスク分解型 |
| 思考 | 完璧な成果物を一度に得る | 相手の理解を深めながら進める |
| 例え | 背景説明なしで仕事を丸投げ | 新入社員を育てるOJT |
👎【ゴール先行・一括指示型】
思考プロセス
「報酬計算ができるスプレッドシートを作る」
必要な情報をすべて盛り込み、一度に完璧な成果物を要求。
「はい、これ関連資料。よろしく!」
結果
AIが文脈を理解できず混乱
- 形式が不完全なCSVが出力。
- 多くの手直し(試行錯誤)が必要。
👍【対話型・タスク分解型】
思考プロセス (OJTのように)
指示: 「まず『…業務積算基準.pdf』を読んで、要約してください。」
指示: 「ありがとう。これらの資料で、どんなことができそうですか?」
実行: Geminiの提案(Webアプリ化)を元に、具体的な作成を指示。
結果
AIが理解を深め、高次元な提案
- Webアプリ化という最適な解決策を発見。
- わずか数分でプロトタイプが完成。
【手段と目的の罠】
先輩Aさんは「報酬計算を楽にする」という目的よりも、 「スプレッドシートを作る」という手段そのものをゴールにしてしまった。
A先輩 (手段が目的化)
ゴール: スプレッドシート作成
結果: 完成形が見えず、試行錯誤を継続中…
ナカヤマ (目的を重視)
ゴール: 報酬計算を楽にする
結果: より最適なWebアプリという成果物を柔軟に生み出した。
Gemini(賢い新入社員)を育てる3つの極意
「パートナー」と捉える
一方的に命令せず、まずは背景や知識をインプットさせる。
タスクを分解して対話する
「資料を読ませる」→「要約させる」→「アイデアを出させる」→「作業を指示する」というステップを踏む。
具体的に指示する
NG: 「あのデータ」「いい感じに」
OK: 「どのファイルの、どの項目を使って、どうしてほしいか」を明確に。